恋人の聖地 宇多津町 平成相聞歌

過去の結果

第8回(平成26年度)結果発表

≪第8回(平成26年度)テーマ≫

最優秀賞

逢いたくて ただ逢いたくて 駆けてゆく 夜の高速 助手席に花

織田潤二

選評

逢いたいと思えば、その思いは一気に募るもの。助手席に置かれた花束が可哀想なほど揺り揺れており、その分だけ真に迫るものがある。(木村)

フランス映画の1シーンのような、洒落た歌。「助手席に花」で、ドラマが生まれました。畳みかけるような文体が、内容とうまく合っています(田中)

気持ちの動きが言葉の中でよく捉えられている。情景描写も抜群。(水野)

最優秀賞イラスト

平成26年度の最優秀賞「逢いたくて ただ逢いたくて 駆けてゆく 夜の高速 助手席に花」を元に、一宮 加奈さんが香川短期大学在学中にイラストを作成しました。

※画像をクリックすると、大きな画像でご覧いただけます。

優秀賞

帰り道 拾った落ち葉の燃える赤 恋の予感をしおりに挟む

朝山ひでこ

選評

ふと拾い上げた落ち葉のくれない色に、心の中にだけ納めておいた恋を実感する彼女。けなげにも落ち葉を本に栞る仕草がいと、いとおしく思える一首。(木村)

飛躍のある歌。「恋の予感を栞に挟む」の、「しおり」の発想が素晴らしい。(田中)

落ち葉の燃える赤に恋の予感。物語性があります。(水野)

雨宿り 二人の距離が 近くなる

コレステロール

選評

偶然の禍(雨)により偶然に機を得た二人。まさに恋に師匠は要らずという展開。雨が育んでくれた二人の仲を簡潔に表現して実感が添う。(木村)

雨や傘は、恋の大切な小道具。少しテレながら雨宿りをしている、若い二人の姿が見えるようです。(田中)

偶然の出会いが恋に発展しそうな状況。ドキドキが伝わってきます。(水野)

喜寿過ぎて 妻に二度目の プロポーズ

てんじょう

選評

完全な家庭を作るのには、完全な人を作るが如く難しいとは内村鑑三の言葉であるが、老齢ともなれば、角も取れ、かつての妻に勝るものなしと思う男が多いのも確か。(木村)

来世もまた一緒になろうね。という言葉も含まれているのでしょう。深い絆に結ばれたお二人ですね。(田中)

喜寿は77歳。二人一緒にお元気なだけでお幸せなのに、二度目のプロポーズとは・・・何がきっかけだったのでしょう(水野)

特別賞

ただそっと あなたのそばに いるという 変哲もない 大きなしあわせ

迦麟冬

選評

欲望、野心等はほどほどにして、何の変哲もなく平凡に暮らすのが最高の幸せと感ずる作者。筆者も常に平凡な幸せに勝る幸せはなしと思って生活している。(木村)

平凡な日常のなかにこそ、大きな幸せがあるということ。大切なことを見つけましたね。(田中)

幸せは遠いところにあるのではなく、自分の中にあることに気付きましたね。(水野)

彼の背に とまったトンボも 恋敵

九(いちじく)

選評

一瞬を捉えて掬いあげた一種の機知俳句であり、実感が添う「恋敵」と把握したところは絶妙。(木村)

ユーモアたっぷりにうたっています。トンボさんもびっくりですね。(田中)

とても面白い視点。トンボにまでやきもちをやいて、それほど彼のことが好きなのでしょう。(水野)

讃岐弁 貴方のうつり 標準語 なのに気持ちは 「好きやけん」

すぎはら

選評

修辞の点で若干気になりますがモチーフは良い。(木村)

「好きやけん」は、ストレートで少し甘えて感情表現。好きやけんもうどうしようもないの、という意味も含まれているのでしょう。(田中)

「好きやけん」が効いています。(水野)

あなたの手触れる勇気がまだなくて影法師だけそっとかさねた

さびしんぼう

選評

触れたくても触れ難い一時を、影法師に見るけなげさに共鳴の一首。(木村)

影法師のスキンシップでしょうか。それだけでときめいている、初々しい歌。(田中)

なんて純粋なのでしょう。影法師を重ねる繊細さがいいです。(水野)

すくすくと スマホの中で 恋育て

働き蜂ちえちゃん

選評

一読、ストレートに判り易く実感も添う一句。スマホが大きく恋の橋渡しをしているのは、まさに今日的で軽快。(木村)

のびやかで、調べの良い歌。「スマホの中で恋育て」が独創的でかつ、説得力のある作品。(田中)

スマホのやりとりの中で育んでいる恋。現代的な感覚が光ります。(水野)

パパの手を 母娘で争う散歩道 あなたはやさしく両手差し出す

わこさん

選評

父親を中心に和やかな家庭が余すなく見えてほほえましく、結句の「両手差し出す」に賢明に生きる父親像が見えてあたたかい。(木村)

パパの両側で手をつないでいる母と子。何と幸せな散歩風景でしょう。(田中)

なんて優しいパパ。両手に花の幸せなパパ。三人幸せの解決法はパパの優しさです。(水野)

世界地図 そんなに眺めて どうしたの 君の居場所は 僕の隣だ

田中克則

選評

あれこれ世界地図を見て楽しんでいる彼女に、「君の居場所は僕の隣だ」と決めつけて言い放つ措辞に独り占めしたい男の強い愛が覗けえて納得の一首。(木村)

「君の居場所は僕の隣だ」と、ずばりと決めた、男らしさが魅力的です。(田中)

「君の居場所は僕の隣だ」と言い切った男らしさに感動です。(水野)

大空を独り占めして告げる愛

いしざわ こーど

選評

頭上に或は背後にある蒼天に後押しされるがごとく告白する愛。「独り占めして」に胸中はり裂けんばかりの思いが封じ込められて実感が添う。(木村)

雄大な景色のなかで告げた愛。まさに「世界はふたりのため」にあるようですね。(田中)

「大空を独り占めして」の圧倒的な迫力に衝撃を受けました。(水野)

呼びかける わたしの「ねぇ」に返事する あなたの「ん?」は陽だまりのよう

夏の空

選評

恋人同士の語らいは、そよ風にゆるる若草のように、いつくしくも可憐である。結句の「陽だまりのよう」の比喩はまさに絶妙。(木村)

「陽だまり」で決まった歌。「ん?」の表記にお二人の信頼関係が想像できます。(田中)

阿吽の呼吸です。暖かい関係が伝わってきます。「陽だまりの要」という表現がぴたりとはまっています。(水野)

広辞苑 開いて恋の 意味知れど 行方は読めぬ 恋のなりゆき

K・U

選評

恋は盲目、恋は発狂ではないが云々なる言葉もあるように、正に先行きは見えぬもの。幸せにつながる恋はやはり慎重に。(木村)

広辞苑に恋の意味はでていますが、恋の手ほどきは書いていないようですね。楽しい歌。(田中)

「広辞苑」が上手い。又「行方は読めぬ」として広辞苑と呼応させ、細かいところまで、言葉を吟味しているところに感心しました。(水野)

四国新聞社賞

スカートの白線のゆれにときめきつフオークダンスの君は十七

渡辺健一

コスモスの揺れてあなたに下の名を呼び捨てにされ少しはにかむ

じゅんこ

好きなのに 好きと言えない古女房 寝顔見ながら眠る幸せ

古妻

今だけは 世界にきみとふたりきり 時間をとめて大観覧車

めぐる

電車から あなたを探す帰り道 似た背格好 息を止め

ゆうママ

香川短期大学賞

頬を染め 打ち上げ花火に 消えた声 今も知らない あのときの答え

シリウス

こっそりと 誰にも内緒で 触れていた あなたの指に どきどきしてた

ゆいみ

目が合って ふっと思わず目を逸らす なんだか少し 気恥ずかしい

横田 杏奈

肩を寄せ 歩く二人を 照らす月

ムーン

選考委員について

平成相聞歌の選考委員の先生を紹介させていただきます。(50音順 敬称略)

  • 木村 日出夫(俳人)
  • 田中 美智子(歌人)
  • 水野 ひかる(詩人)
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